方位と速度の判定について

本システムでは方位と速度を判定するために、GPSから取得可能な位置情報(緯度・経度)をもとにこれらを算出する方法を採用しています。本来は方位はコンパス(ジャイロセンサー)を、速度は速度計(加速度センサー)を用いて算出するのがより正確な値を取得する方法ですが、端末機種によってはこれらを装備していなかったり、値が不正確(不安定)であるとの問題があるため、以下に示す方法を採用しました。その上でいくつかの注意点があります。

速度と方位について知って欲しい事

速度と方位は連続する2点間の測位結果から、2点間の距離および2点間の測位時刻の差 を用いて概算値を取得しています。2点間の測位時刻は端末のスペックにもよりますが、概ね1秒間隔で連続して処理されます。測位結果が安定している場合は、測定された結果は相当の精度で信用することができます。しかし以下のような条件だと全く計測できないか、あるいは非常に不正確な値となる事があります。

トンネル内部、地下駐車場等

衛星が捕捉できずに新たな測位点に関する情報が入手できないため、自車アイコンの位置も全く変化しません。よって計測された値は前回取得した結果から一切変化しません。

高架橋の下や高層ビルの谷間など

測位精度が悪化するために信頼できない値を受信してしまうことがあります。自車アイコンの位置は刻々変化しますが、実感と異なる場所を転々とするような場合には(実感とは異なる)各種計測値が得られる場合があります

現在の方位と速度を確認する

これらはマップ画面において現在地を押すことで地図画面の上部に表示されます。現在地の追跡中(自車アイコンの動きに合わせて地図の中心が自動的に遷移する状態の時)は継続して測定値が画面上で更新されます。
表示色はGPSの測位精度を示します。

緑色の場合
GPSの測位精度が10m未満であり、受信状態が良好であることを示します。
黄色の場合
GPSの測位精度が20m未満であり、受信状態がやや悪い状態であることを示します。
赤色の場合
GPSの測位精度が20m以上であり、受信状態が悪化していることを示します。
GPSの測位精度とは「測定された結果から半径〇メートルの円内に正しい現在位置が含まれている確率が50%以上あること」とされています。一般的な人工衛星を補足している場合、測位精度は非常に良好な場合で2-3mです。
画面に表示されている方位は「走行中と認められる状態で」最後に測定された内容が表示されます。例えばバックで切り返しを行って駐車場に停車した直後や、停車直前で測位結果が安定しなかった際は、必ずしも現在の車の向きと一致するとは限りません。その場合、再度走り始めると自律的に正しい向きに訂正されることになります。
画面に表示されている速度は停車中であっても、その時点の測位結果のブレによって0km/h以上(場合によってはかなり高速!)の値が表示されることがあります。安定して測位できている場合はおそらく停車中に 0km/h と表示されます。

走行軌跡について

2025-09-18版 よりGPSから受信した位置情報をマップ上にプロットする機能を設けました。以下のように走行軌跡としてマップ上に描画します。

赤い丸印
方位を判定した場所を示します。
赤い直線
方位を判定した2点間を直線で結んだモノです。
同心円
方位を判定するための基準となる距離範囲(走行中判定基準)を示します。自車の位置がこの範囲円の外に出たことを検知した場合に方位を判定し、この同心円を新たに再配置します。
この距離(同心円の半径=走行中判定基準)を比較的長めにとると、GPSの測位誤差の影響を受けにくくなるため、算定される方位の精度が向上しますが、方位の判定間隔が長くなり、ヘディングアップ中のマップの回転が鈍くなります。

GPS測位のカスタマイズについて

システム設定>操作画面に関する設定>操作画面に関する設定(GPS)の各値を変更してください。

走行軌跡(測位軌跡)の描画を止めたい場合

操作画面に関する設定(GPS)>測位軌跡の描画を「表示しない」に変更する。

方位が頻繁に意図しない方向を指し示す場合

操作画面に関する設定(GPS)>走行中判定基準を長めの距離に変更する。

参考文献、算出方法など

位置情報から速度を得る方法

これについては自明である。

速度(m/秒)=時間的に隣接する2点間測位点の距離(m)/ 双方の測位時間の差(ミリ秒)* 1000

2点間の緯度、経度から距離を求める方法については以下のサイト等が参考になった。

位置情報から方位を得る手順

各測位点には実際の場所との誤差が含まれており、「実際の停車中」においても本来の現在位置の周辺に不規則な測位結果を残すことがある。これにより予期せぬタイミングで体感とは異なる方位が出力されてしまう。したがって論理的に「走行中である」と判定できない場合には新たな方位角を算出しないようにする。

そこで、新しい測位点が方位算出場所①から定められた距離(走行中判定基準)を離れた場合に初めて「走行中」であると見做し、その測位点⑤と方位算出場所①の緯度、経度から方位角15(真北からの進行方向)を算出することにした。

2点間の緯度経度から方位角を算出する方法については以下のサイト等が参考になる。